妊娠初期の胎児超音波検査では、胎児の解剖学的な所見を確認しております。確認する項目は、当院のホームページhttps://www.fetus-clinic.com/column/pregnancy_early.htmlに記載している通りです。多くの所見を確認しており、基本的には、妊娠中期で確認している項目とほぼ同じです。

初期胎児超音波検査を受ける時期

妊娠初期の胎児超音波検査を行う時期は妊娠11週から13週頃です。その時期を過ぎても構造を確認することは可能です。染色体異常のリスク計算も同時に希望される場合は妊娠11週から13週で超音波検査を受ける必要があります。

初期胎児超音波検査でわかること、わからないこと

 超音波検査をする時期の赤ちゃんの頭からお尻の長さはおよそ45mmから84mm程度です。心臓の大きさも、お米くらいの大きさです。そのような、まだ小さい時期からでも多くの所見を確認することができます。2019年にFetal Medicine Foundation (私が胎児医療のトレーニングを受け入れてくれたチャリティー団体です)のグループから出された論文https://doi.org/10.1002/uog.20844が有名です。

この論文では、妊娠初期、中期、後期にどのような構造学的な異常を検出しうるのかを示しています。この中で筆者は構造学的な異常を、妊娠初期に常にわかる所見、わかるかもしれない所見、わからない所見に分類しています。

例えば、無脳症や、全前脳胞症などは、100%近く分かるとしています。一方で、肺の嚢胞性疾患などは妊娠初期に診断することはできません。

検査をする側は初期胎児超音波検査でわかる所見とわからない所見をそれぞれ理解しておく必要があります。

プロトコールに則って行う胎児超音波検査

この論文でもう一つ重要だなと考えることは、この超音波検査は、標準化されたプロトコールに沿って実施されたことです。私も、この論文が執筆されたKings college hospitalでトレーニングをしていましたが、とるべき画像が決められています。心臓なら、この画像とこの画像を撮らないと行けないとか全ての臓器に決まっています。この論文の対象となった10万以上の妊娠を470人以上の研修生が検査しています。殆どが、世界中から集まった医師ですが、経験値は様々です。自国でコンサルタントだった人もいましたし、医学部を終えてすぐに来た人もいました。そのような様々な、研修生が集まった状況でも同じクオリティを提供できるのはプロトコールがあるからだと思います。

当院でもKings college hospitalのfetal medicine institute と同じプロトコールを使用し国際的にも標準的な検査を提供していきます。