胎児超音波検査は、通常の妊婦検診で行っている、推定体重などの計測に加えて、胎児の各構造を確認していく検査です。当院では胎児の向き等、条件にもよりますが30分程度、時間をかけて検査を行っています。
胎児超音波検査を受ける時期は産科診療ガイドラインに従い、妊娠初期(妊娠11週~妊娠13週)、妊娠中期(妊娠20週前後)、妊娠後期(妊娠30週前後)の各時期に行っています。それぞれの胎児ドックに関しましては、今後詳しく記載していきたいと思いますが、それぞれの胎児ドックでは確認できる所見や、診断ができる赤ちゃんの病気に違いがあります。
妊娠初期では比較的大きな胎児の所見がわかることが多いといわれています。また、NTと呼ばれる首の後ろに液体が貯留している部位がどの赤ちゃんにもありますが、染色体異常との関連も指摘されており、初期の胎児超音波検査では遺伝学的な情報が含まれることがあります。そのため当院では初期に胎児超音波検査を希望されている方には遺伝カウンセリングを受けて頂くようにお願いしております。
妊娠中期での胎児超音波検査は解剖学的な所見を確認する時期として、国際的にもスタンダードなものかと思います。妊娠初期に行っている胎児超音波検査では確認できないような所見も妊娠中期では確認することができるようになります。実際に妊娠初期に何もなくても、中期で解剖学的な所見がわかることもあります。その理由としては初期では小さすぎで見えないものであったり、まだ胎児の機能が成熟していなかったため初期では確認することが不可能なものもあります。
妊娠後期での胎児超音波検査でも確認していく構造は妊娠中期での胎児超音波検査と同じです。妊娠後期になって初めてわかってくる構造学的な所見(卵巣嚢腫や一部の骨系統疾患など)もあります。一方で妊娠後期では胎児の顔がお母さんの背中を向いていることが多く、また、胎児の周囲のスペースも中期と比較して少なくなってきますので、顔や心臓、手足などすべての構造を確認していくことが難しいことがあります。